どーも、技師歴10年以上になるヒコ技師です。
月9の『ラジエーションハウス』というドラマで放射線技師の仕事がどんなものなのかドラマを見ていて知る方も多いと思います。初めて放射線技師という仕事がドラマの題材になったのではないでしょうか。私もドラマを見ていて「ここはリアルだなぁ」だとか「ここは現実と違うよー」と言いながら楽しく見ています。
そこで、診療放射線技師という仕事はどのような仕事なのか、どうやってなるのか、現役技師の私が解説していきます!
診療放射線技師の仕事に興味がある方、またはこれから技師になろうかなと思っている方の参考になればと思います。放射線技師の“リアル”を伝えていきます。
技師になるには(資格・国家試験)
まずは、放射線技師になるまでの道のりを説明していきます。
放射線技師として働くには、国家試験を受けて診療放射線技師の資格を取得する必要があります。この国家試験を受けるためには、最短でも3年間学校で勉強しなくてはなりません。
私は短期大学を卒業していますが、私が卒業した後に今まであったほとんどの短期大学が4年大になっています。私が知っている専門学校も3年制から4年制になっていました。現在はほとんどの大学・専門学校が4年制になっていると思います。(まだ3年制の学校があるかはわかりません)
大学・専門学校ではもちろんしっかり勉強しなければなりません。なぜなら、学校は国家試験合格率を高くしたいため、学校内で行う試験をパスしなければ国家試験を受けることが出来ないからです。私が出た学校では毎年、留年してしまう生徒もちらほらいました。
卒業するまでに、臨床実習もあります。私の時は約3ヶ月くらいでした。病院で技師が働く姿を見て学び、技師が付き添いのもと実際に撮影をしたりもしました。この臨床実習は学校生活で一番大変だと思います。毎日のレポートと、なれない場所での実習。しかし、この期間が一番技師として学ぶことの多い大事な期間だと思います。
そんなこんなで、学校の試験や臨床実習を乗り越えて国家試験を受けることが出来るのです。
国家試験について
診療放射線技師の国家試験は1年に一回だけです。2月下旬くらいに行われます。
試験はマーク式で、5択の中から答えを選びます。5つの中から答えを1つ選ぶのだったら勘で書いても20%の確率で正解でしたが、昔と違って今は「5つの中から2つ選べ」などちょっと難しくなっています。
試験の合格基準は
つまり、試験の6割を正解すればいいってことです。
試験科目は、基礎医学大要、放射線生物学、放射線物理学、放射化学、医用工学、診療画像機器学、エツクス線撮影技術学、診療画像検査学、画像工学、医用画像情報学、放射線計測学、核医学検査技術学、放射線治療技術学、放射線安全管理学があります。この中で0点が2つ以上だと不合格になります。数問しかない科目もあるので注意が必要です。
詳しい情報は厚生労働省のホームページに載っています。
国家試験の合格発表は、試験の約1ヶ月後になります。
私の体験談を少し話すと、国家試験の翌日に全員学校で自己採点をしました。ピンと張りつめた空気の中、その時間がまさに地獄の時間。自己採点中、泣き崩れる生徒や放心状態になっている生徒。様々でした。普段から勉強を頑張っていた生徒が落ちたり、ギリギリ国家試験を受けることが出来た生徒が合格したり…。合格か不合格しかない一発勝負の恐ろしさを体感しました。
ちなみに、私のオススメ勉強法は、とにかく過去問はマスターする事です!これ大事です。
大卒と短大・専門学校卒では待遇は違うの?
結果から言います。学歴で給料が変わる病院もあります!
いわゆる公立病院では、給与のスタートが違います。1万円くらいだったかな!?
民間の病院でも大きい病院は、大卒と短大卒・専門学校卒では給与が違う場合があります。しかし、多くの病院では学歴で給与が変わってくることはほとんどないような印象です。どこを卒業しても大切なのは診療放射線技師の免許を持っている事なので。そして、大事なのは学歴ではなくて技師としてのスキルだと思います。
下記でも述べますが、技師のスキルによって給与が大きく変わってくることもあります。
仕事内容について
放射線技師の仕事は、ざっくり言うと医師の指示のもと検査などを行う事です。
放射線技師が行う検査は、レントゲンだけではありません。なので、放射線技師の事を「レントゲン技師」と言うと「仕事はレントゲンだけじゃねぇよ!」と思って嫌な顔をする技師もいます。(放射線技師あるある)
レントゲン・CT・MRI・RI・PET・エコー・透視・マンモグラフィー・骨塩定量・血管造影などけっこう放射線技師が扱える検査は多いです。施設によっては、エコーは臨床検査技師がしていたりもしますが、放射線を伴う検査は放射線技師がしています。
また、検査だけではなく、放射線治療も技師の仕事の一つです。
検査をする技師の技術で、見つけにくい病変を見つけ出すことができたり、見落としてしまうこともあるので非常に責任のある仕事です。なので、日々放射線技師は勉強しなくてはなりません。
「技師の仕事ってラクそうだよねぇ」だとか「スイッチ押すだけでしょ」だとか思われている面もありますが、決して楽ではないことを強く言いたいです。確かにラクなところもありますが、そんなに簡単な仕事ではないことを理解してもらいたい。
当直もありますし、オンコールもあります。オンコールは夜間寝ている時に電話が鳴り、病院へ駆けつけないといけません。私は一晩に何回も起こされたこともあります。そして、次の日はまた朝から日勤だったりします。これがひと月あたり〔ひと月の日数/技師の人数〕であるのです。
入院のない外来だけのクリニックはオンコールがありません。(ある施設もあるかもしれませんが)
では、放射線技師の仕事で良いところと悪いところを現役技師のリアルな声として紹介していきます。
放射線技師の仕事で良いところ
この仕事で良いところをざっくり挙げていきます。
- 資格を持っているので今の職場が嫌なら他の病院へ移ることが出来る。
- 仕事内容は、看護師や介護士などに比べればハードではない。
- 給料はそこそこ。
- 小さなクリニックなどは頑張り次第で給料が上がる。
- 検査が無い時はとことん暇。
- 経験により画像を読めてくると、やりがいが少し生まれる。
などいろいろです。他の技師が見たら「もっといいところあるでしょー!」と言う方もいるかもしれませんが、私が思いつくのはこんな感じです。
放射線技師の仕事で悪いところ
逆に悪いところを挙げていきます。
- オンコールなどある職場は仕事に縛られる時間が長い。
- 小さな施設では院内の雑用がまわってくる場合がある。
- 検査が無いとき、暇な時間の使い方が難しい。
- 院内に少人数しかいないため、休みを取りにくい場合がある。
- 求人はないことはないが、少ない。
- 大きな病院勤務になると技師会に入れられたり、勉強会へ参加しなくてはならない。
- 頑張っても誰かに感謝されることが少ない。
- 難しい読影しても医者の手柄。
- 評価されにくい仕事
などです。これはあくまでも私が考えたものです。当サイトでは“リアル”を伝えたいので、キレイ事なしでこんな感じです。
最大の問題は、オンコールや当直などあると仕事に縛られる時間が多くなるという事です。もちろん、手当は付きますがオンコール手当は一般的に思っているほど高くはないです。
年収・給料について
おそらく多くの人が気になるのが「放射線技師って給料高いの?」ってことじゃないでしょうか。
放射線技師って聞くと「高給取りなんでしょ?」って思われる方が多いと思います。実際私もよく言われます。そんな放射線技師の給料の実態を教えます。
厚生労働省が発表する診療放射線技師の平均年収はこちら↓
平均年収 : 5,033,700円
月収 : 347,700円
賞与 : 861,300円
声を大にして言いたい。
「ウソつけー!!!」
と。
これはあくまで平均値です。正直、実態を知る私から言わせれば参考になりません。
昔の技師は、けっこう高給取りだったらしいです。そして、昇給額も大きかったとか。しかし、現在の若い技師は普通に働いていても昇給額はそんなに大したものではないし、もちろん高給取りでもありません。
つまり、昔の給料が高かった時代の技師はけっこうもらっていて、20代・30代くらいの技師はそんなに給料高くないです。昔からの技師と今の技師では格差が大きいのです!
現在私は30代半ばですが、この平均年収には手が届かない状態です。
ちなみに、放射線技師の平均年収は、医療業界の中で医師、薬剤師に次いで3番目の高年収らしいです。私から見ればこの調べも怪しいものですが…。
これから診療放射線技師になろうという方は、職安で技師のリアルな求人・給料を見ることをオススメします。
就職は大きい病院と小さなクリニック、どっちがいいの?
給料は、大きい病院と小さいクリニックなどでは少し違ってきます。
福利厚生で見れば、相対的に大きい病院の方が良いと思います。おそらく多くの人は大きな病院で働いた方がいいと思うかもしれません。大きな病院で働けば、いろんな症例を診ることが出来ます。また、レントゲンだけでなくCTやMRIなどの装置があるので、技師としてのスキルを上げるなら大きい病院で働くのがいいと思います。
しかし、小さいクリニックで働くメリットはあります!それは、自分のスキルや頑張り次第で給料が大きく上がる可能性があることです。大きな病院では、給料が大きく上がることは滅多にありません。しかし、個人経営の小さなクリニックでは給料は経営者(院長)のさじ加減一つなので、そのクリニックで欠かせない人材になれば大きく給料が上がる可能性があります。上手くやれば、放射線技師の平均年収を大きく上回る可能性もあります。
技師業務はもちろんのこと、事務的な仕事や雑用などいろんな仕事をこなすことにより大きく年収が上がるかもしれないのが小さなクリニックで働く最大のメリットだと思います。
結局、働くならどっちがオススメなの?
その問いに対する私の答えは
「卒業して最初に働くのは大きい病院がいい。そして、技師としてのスキルを身に着けたら今度は小さなクリニックで働く。」
これが個人的にベストなのではないかなと思います。ずっと大きい病院で働くのもいいですが、オンコールなどあって、ハードです。おそらく大きい病院で働く多くの技師は「定年までここで働けるかな」という不安を抱くかもしれません。私も実際そうでした。
どこかの区切りで小さいクリニックに移るのがライフワークバランスという観点から考えてもいい判断なのかなというのが私の考えです。
放射線技師の仕事のやりがい
やはり仕事はやりがいが無いと続きません。どんな仕事でもそうです。放射線技師の仕事にもやりがいはあります。もちろん、ただ生活のために働いているという技師も多いと思います。
私の場合、撮影技術を高めて自分で読影し、自分のスキルにより患者さんの病変を発見できることにやりがいを感じます。技師が病変を発見したからといって、患者さんから感謝されるわけではありません。診察するのは医師ですから。技師が日の目を見ることはないけれど、確かに自分のスキルが役に立ったという実感だけはあります。そのことが、私の技師として一番のやりがいです。
技師のスキル向上は、その病院の診断力の向上に直結していると私は考えています。現在、私は技師が私しかいない小さなクリニックで働いていますが、診断における放射線技師の役割はかなり大きいです。スキルを上げて、医師と対等に話すことが出来るのもやりがいの1つかもしれません。
最後に…
診療放射線技師に対する世間の見方は必ずしも正しくはありません。
スイッチを押すだけ?そう思われる面もあるかもしれませんが、技師は診断のために日々勉強しています。
高給取り?それは昔の話です。もしかしたら普通の仕事より安いかもしれません。時給800円の技師のアルバイトの求人も見たことあるので。
この記事では、現役技師である私が思うことをリアルに書いたつもりです。この記事を見て「放射線技師ってホントはこうなんだぁ」と思って頂ければ幸いです。
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