こんにちは、ヒコ技師です。
健康診断などで胸部のレントゲンを撮ったりする機会があります。胸部レントゲンはレントゲン検査の中では一番メジャーなものだと思います。
そこで今回、胸部レントゲンはどんな検査なのか、検査を受ける上での注意点など解説していきます。
胸部レントゲンとは?検査の目的
胸部レントゲンでは、主に肺の状態や心臓、水などが溜まっていないかなど観察することが出来ます。たまに勘違いされがちなのが、胸部レントゲンとマンモグラフィーは別物という事です。胸部レントゲンでは乳がんを見つけることは出来ません。
胸部レントゲンは、レントゲンを撮れる施設ならどこでも撮ることが可能ですが、マンモグラフィーは専用の機械が無いと撮ることが出来ません。
胸部レントゲンは簡易的な検査であり、医師が読影してそこで何か病変の疑いがあればCT検査などの精密検査を受ける必要があります。
検査前の準備
では、検査を受けるにあたって何か準備が必要なのか説明していきます。
結果から言うと、検査前に何か特別にしておかないといけないことはありません。朝は何も食べたらいけないだとか他の検査だとある場合がありますが、胸部レントゲンを受ける際、特にそのような制約はありません。
検査時の服装は?
服装は自由な格好で来ていただいて大丈夫ですが、検査着に着替える必要があります。
レントゲンでは、金属やプラスチック系のものは画像に写ってします。異物が写ることにより、正確な診断の妨げとなります。なので、下着とかにホックなどの金具やプラスチック類がある場合は、下着を外して胸部レントゲンを撮影しなければなりません。
技師が考えるベストな服装はTシャツです。Tシャツと言っても、プリントなどあるTシャツはダメです。プリントが画像に写ってしまうことがあるからです。(経験済み)
なので、ベストな服装は何もプリントなどが無いシンプルなTシャツです。
プリントなど無いシンプルなTシャツなら検査着に着替える必要もないのでスムーズに検査を行うことが出来ます。(もしかしたらTシャツを着ていても検査着に着替えないといけない施設もあるかもしれませんが)
胸部レントゲン検査の流れ
まず、上記で述べたようにレントゲンを撮る前に着替えが必要な場合は検査着に着替えてもらいます。
またその時に、湿布やエレキバンなどレントゲンに写りそうなものは事前に外してもらいます。冬場はカイロを貼っているケースもあるので、カイロも外します。技師もチェックしますが、何も写りそうなものがないかさすがに検査を受ける方の裸をチェックするわけにはいかないので、検査を受ける方はレントゲンに写りそうなものは自分で外す必要があります。もし分からないことがあれば、技師に尋ねてみるといいです。
検査は、胸を付けて立位での撮影になります。
撮影時「息を吸って、止めて下さい」と技師が言いますので、しっかり息を止めるようにして下さい!なぜ息止めをしないといけないかって?それは体の動きを止めるためです。例えば、写真を撮る時に被写体が動いたらボケた写真になりますよね。それと一緒です。胸部レントゲンだけでなく、他のレントゲンやCT検査でも息止めをするのはそのためです。
最後に、技師が撮った画像を確認して検査は終わりになります。
胸部レントゲンの被曝は?
レントゲン検査を受ける方の中には、被曝を気にされる方もいらっしゃいます。
福島原発事故を境目に、「レントゲンの被曝は大丈夫なの?」とか「あまりレントゲン撮りたくないんだけど」といった被曝への意識を持つ患者様が増えたように現場で働いていて感じます。
なので、胸部レントゲンの被曝はどれくらいなのか、また、大丈夫なのかを説明します。
まず被曝量ですが、「胸部レントゲンの被曝量は何mSv(ミリシーベルト)だよ!」と言う事は出来ません。なぜなら、被検者の体格などで被曝量も変わってくるので。体格が大きな人ほどレントゲンを撮る際に大きな線量を当てる必要があります。なので、体格が大きい人ほど小さい人より被曝量は大きくなります。
おおよそですが、胸部レントゲンは0.05mSvくらいです。
この数字は、あくまでもおおよその数字です。おそらくネットで調べても数字が前後すると思います。被検者の体格と機械の性能によっても多少被曝量が変わりますので。
では、この被曝量って実際多いの?害はないの?という疑問に答えましょう。
結果から言うと、胸部レントゲンの被曝量は人体に影響するほどの被曝量ではありません!
ただ、少量ですが被曝していることにかわりはないので多少のリスクはあります。ですが、
『被曝のリスク < 被検者の利益』
という考えのもと、被曝のリスクより早期発見などの被検者の利益が大きいので検査は行われます。この考え方はどの検査においても、放射線技師またはレントゲンをオーダーする医師にとって非常に大事なことなのです。
胸部レントゲン検査を受ける方は、被曝のリスクは非常に低いので安心して検査を受けていただきたいです。
妊娠中または妊娠の可能性がある方は?
上記で述べたように胸部レントゲンの被曝のリスクは非常に低いです。では、妊娠中や妊娠の可能性がある方はレントゲンを撮っていいか説明します。
基本的に妊娠中または妊娠の可能性がある方はレントゲンを撮りません。
健康診断などならまず撮ることはないです。しかし、緊急の場合などどうしても検査が必要な場合はレントゲンを撮ります。これは先ほど述べた『被曝のリスク < 被検者の利益』の考え方により判断されます。
まとめ
胸部レントゲンは、レントゲン検査の中で一番多くの人が受けたことのある検査だと思います。
検査の受ける際のポイントは、
- 服装は、できればプリント無しのTシャツが望ましい。
- 湿布やエレキバンなどは外す。
- 撮影時、息をしっかり止める。動かない。
- 分からないことがあれば技師に尋ねる。
検査自体は短い時間で済む検査です。被曝のリスクも非常に低い検査なので、安心して受けて下さい。この記事を読んでいただいて、胸部レントゲン検査への知識が深まり、検査への不安が和らげば幸いです。
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